“自分は体が硬いから、腰痛がなかなか治らない”そう考えていませんか??
腰痛もちのかたで、体が硬い人は確かに多く、そのため腰痛の原因が『筋肉の柔軟性』だと考えている方は少なくありません。
そういった人たちは、柔軟性さえ改善すれば、腰痛が解消されると考えて、一生懸命ストレッチをしていたり、もしくは腰に効くストレッチを一生懸命探しています。
私も、今まで腰痛に悩んでいる方を、治療院の下積み時代から、パーソナルトレーナーとして活動している現在まで、たくさん関わる機会がありました。
そういった方たちの話を聞いていくと、ほとんどの方が腰痛の原因が柔軟性だと考えていました。
なぜストレッチで腰痛が改善しないのか??
今まで関わってきた腰痛持ちのクライアントの方は、腰痛を改善するために、いろいろと試されてきた方がとても多かったです。
腰痛を抑えるブロック注射や痛め止めの薬。
定期的なマッサージや鍼灸通い。
ストレッチを一生懸命やっていたり、ストレッチサービスをゴルフあとに必ず受けるようにしている方もけっこういらっしゃいました。
もちろんこういったことが、全部ダメというわけではありません。
しかし、腰痛を解消することにはつながっていきません。
なぜかというと、原因を取り違えているからです。
腰痛の原因は、決して一つではなく、たいてい複数の原因が絡み合っています。
簡単に分けると以下の3つになります。
1,日常の動作上の問題 2,筋肉や神経の問題 3,骨・関節の問題 |
そして、一般的な順番として、腰痛の原因は1から3へと移っていきます。
言葉で説明していくと、
(1)日常の動作が正しくないから、
(2)特定の筋肉や部位に負担が生じ、 (3)それを改善しないから骨に影響する |
といった順です。
ちなみに腰痛のときの対処法として、ついつい選択してしまう『鍼・マッサージ』や『ストレッチ』。
これらは、何にアプローチしているでしょうか。
当然、筋肉ですよね。
上の表で言えば(2)になります。
マッサージは、筋肉をほぐすことですし、ストレッチは、筋肉を伸ばすことです。
そして、どちらも筋肉にたまった負担を緩和していく方法です。
しかし、(1)の根本的な原因にもアプローチしない限り、いつまで経っても、マッサージやストレッチなどの対処療法に頼ることになります。
もちろんマッサージやストレッチがいけないわけではありません。
腰痛を改善していく上で、ストレッチはしたほうがいいでしょう。
どんなストレッチがいいかは、こちらの記事『【パーソナルトレーナーおすすめ!!】腰痛に効くストレッチを3つ厳選してみた!!』を合わせてご参考ください。
ここを知らないから、いつまでたっても腰痛は改善しないし、どれだけマッサージをしてもすぐに戻ってしまうんですね。
ですから、腰痛の原因をどの部分で捉えるかによって、改善するための対策は変わります。
それだけに腰痛の原因を正確に把握することがとても大事です。
こんなストレッチで、腰痛を改善しようとしていませんか ?
体は、すべてがつながっています。
日常生活において、どこか1つの筋肉だけが、動いて使われることはありません。
多くの人は、ストレッチをして、
『股関節周りの筋肉の柔軟性が良くなれば、腰痛を改善できる』(柔軟性)
『腹筋が強くなれば、腰痛を解消・予防できる』(筋力)
と考えてしまいます。
もちろん、腰痛に関連する筋肉のコンディション(筋力・柔軟性)が良いことに越したことはありません。
しかし、それぞれの筋肉の伸び(柔軟性)、縮み(筋力)が良くなったとしても、もし体の使い方や連動性が損なわれていたら、腰痛のリスクを、いつまでも抱えたままです。
体の使い方・連動性と言っても、なかなかイメージしにくいと思いますので、ここでは一例をご紹介します。
例えば、腰痛を改善するストレッチとして、もも裏を伸ばすストレッチがよく推奨されています。
そのためストレッチサービスを受けたことがある人ならご存知かもしれませんが、写真の体勢で、もも裏を伸ばしてもらったりするんですね。

上の写真は、人にやってもらう例ですが、下の写真のようにタオルで伸ばすことも、効果としてはそこまで変わりません。(↓)

これらは、いずれももも裏を伸ばす柔軟性のストレッチです。しかし、同じ(片足を膝を伸ばしたまま上げる)動作を、タオルや人に上げてもらうのではなく、自分でやってみてください。

このときに、普段ストレッチしかしていない人であれば、『足を上げてもらっていた高さ』と『自分で足が上げられる高さの差』に歴然とすると思います。
そして、腰痛持ちの方・腰痛リスクの高い方は、『足を上げてもらった時の高さ』と『自分で足を上げた時の高さ』に大きな差があるか、もしくはどちらも上がらないことが多いです。※ちなみに左右差もけっこう多く見られます。
この自分で足が上がらないということは、股関節が正しく使えていない、身体の使い方がうまく連動していないということになり、普段の生活においても腰の負担がとても大きくなります。
ですから、(腰痛を改善する上で)最終的な目標としては、人やタオルにストレッチしてもらって、高く上がるようになって可動域を改善することではなく、股関節を正しく使ってその高さまで自分で上げられるようになることです。
それによって、日常生活の腰の負担は減っていきます。
また、腰痛の原因を体が昔から硬かったから、と言って、ストレッチをいくらやって、柔軟性だけが改善しても、『柔軟性』と『筋力』、それから『体の機能・使い方』とのバランスが保てなくなり、かえって腰が悪化することもあります。
身体のバランスと聞くと、バランス感覚や、もしくは見た目上のバランスを考えてしまいがちですが、身体の能力バランスで考えることも大事なので、その視点を忘れないでください。
別の言葉で言うと、体が柔らかくなったからといって、必ずしも腰痛にならない訳ではない、ということです。
腰痛に悩まされている方の中には、体が柔らかい人だってたくさんいます。
その理由を考えれば、腰痛の原因はいくつもあって、それらが重なり合って症状として出ているということはイメージしていただけると思います。
ストレッチ以外で腰痛を改善していくために・・
今回ご紹介した例は、あくまで一例ですが、腰痛を改善していくには、足を上げてもらった時の高さを改善するのではなく、自分で足が上がる可動域を改善しないと、腰痛の根本的な改善にはつながりません。
では、自分で足が上がるようにするには、どうしたらいいのでしょうか。
それは、足が上がらない本当の原因を確かめることが大事になります。
足を上げる動作には、もも裏の柔軟性(ストレッチ)も確かに影響します。
しかしそれ以外に、足を上げるときに使われる筋力、それから足を上げる動作をおこなう際の、体の連動性も影響してきます。
もし、足が上がらないのが筋力が原因なのであれば、ストレッチではなく、筋力強化をするトレーニングをした方が改善につながりますし、体の連動性が原因なのであれば、そういった動作を修正するトレーニングが不可欠です。
ですから、腰痛の原因把握を間違ってしまうと、改善しないアプローチに、必要以上に時間を費やして無駄にしてしまうことになります。
そして、いつまでたっても腰痛と付き合いながら、生活を送らなければいけません。
最後にまとめると、腰痛を改善するために大事なことは、腰痛の原因を正しく把握すること。けっこうこの辺りがおろそかにされていたりするので、この記事で説明してみました。
案外、自分が思っている原因と、実際の身体の原因は違ったりします。
ちなみにストレッチが腰痛改善には、良くないということではありません。
ストレッチを腰痛改善の選択肢の1つとして取り組んでおくことはとても大事です。
その辺のことは、また別記事でご紹介していきます。
追伸
実は、恥ずかしいことなのですが、私の父が、まさに今回ご紹介したケースでした。
私の父は、とても真面目で、健康に対して関心も高いです。
子供の頃の父のイメージでは、朝や夜に開脚をよくしていて、お腹をほとんど地面につけながら、よくテレビを見ていました。
しかし、この記事を書いている3年ほど前に、腰を悪くして、結局手術しています。
お伝えしたように、開脚は、お腹が地面につくほど体の柔軟性は高かったにもかかわらずです。
ですので、一生懸命、柔軟性の改善に取り組んだ先に、求めているゴール(腰痛に悩まされない身体)がないのは、すごくもったいないことだと思いました。
ましてやストレッチに関しては、各筋肉30秒から長くても1分も伸ばせば十分なわけですから、腰痛の原因が複数あるのであれば、ストレッチとトレーニングなどを組み合わせた方がよっぽど時間の使い方としては理にかなっています。
私は、あまり実家に帰れていなかったので、手術が決まってから知ったことですが、もう少し、何かできたことはあったのかなと思います。
父のように、一生懸命間違ったことに取り組んで、かえって悪くする人、もっと早く気づけばよかった、と後悔する人を父以外でもこれまでたくさん見てきました。
それでも変わらず、腰痛に悩んでいる人たちを少しでも少なくすることに全力を注いでいきたいと思います。
もし腰痛で悩んでいる方がこれを読んで、何か気づいていただき、より良い方へ変わるきっかけにでもなれば嬉しいです。
腰痛専用パーソナルトレーニング・プログラム

Fit Axisは、腰痛を改善していきたい方のために、腰痛専用のパーソナルトレーニングプログラムをご用意しています。
『腰痛を改善するには何をすればいいのか』
『どういった手順で』
『何から始めていけばいいのか』
身体の機能を高める整体とトレーニング・ストレッチを組み合わせながら、改善プログラムを作っていきます。
また、腰痛改善のステップが体系立てて分かるので、確信をもって、腰痛に負けない体を作っていくことができます。
トライアルコースをご用意していますので、ご関心がある方は以下より確認できます。