太田 敏彦
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ちょっとした動作のときに、股関節がつまる感じがする…
歩いていると、どうも股関節に痛みや違和感がある…
身体にはたくさん関節がありますが、股関節や膝関節などは特に痛みや傷害を抱えやすい部分の一つです。
特に股関節は、ほかのどの関節よりも動ける関節何ですね。
そのため、股関節に痛みや違和感がある場合、さまざまな身体のトラブルを引き起こす原因にもなってしまいます。
ちょっとした痛みや、つまりなどの違和感も、ずっと放置してしまうと、あとで後悔するなんてケースも、実際たくさんあります。
そのためできることなら、早い段階で対処をしておきたいところ。
そのためには、まず股関節の痛みやつまりなどの違和感が、なぜ起こっているのか、それを放置したらどうなるのかということを知っておくことはとても大切です。
そして、今回はそれだけではなく、やってはいけないストレッチと、一人でもできる対処法などもご紹介していきます。
なぜ股関節の痛みやつまり感が出るのか?
股関節の痛みといっても、色々な痛みがあります。
人それぞれ、痛みの原因は違うので、どういった動作をしたら、どのあたりが痛むのかによって、当然対処するべきポイントは変わってきます。
しかし、股関節の痛みの中でも、前部のつまり感や痛みは、特に多いように思います。
では、こういった股関節前部の痛みやつまり感はなぜ起こるのでしょうか?
原因の一つとして考えられるのは、股関節周りをおおっている関節包(かんせつほう)などの軟部組織が固まってしまい、股関節の動きが出なくなっているからです。
簡単にいってしまうと、ガチガチに固められて、股関節が動きにくくなっているんですね。
しかし、股関節は歩いたりするときなど、日常生活のどの動作においても、ほとんど関わってくる関節です。
動きにくい状態なのに、動かさないといけない、だからその動かしたくないという警告・サインとして、股関節に痛みやつまり感などの違和感が出てきます。
股関節の痛みを放置すると危険な2つの理由
では、もしこの股関節の痛みやつまり感を放置していたら、どんなリスクがあるのでしょうか。
2つのリスクが考えられます。
1つ目のリスクは、腰や膝などに負担が波及してしまい、痛みが波及してしまうことです。
先ほどもお伝えしたように、股関節はほとんどの動作に関係しています。
もしこの関節が動かないと、ほかの部分で動作をカバーしなければいけなくなるんですね。
これを代償動作というのですが、その場合、身体にとって正しい動作でないために、無理な負担が集中してしまいます。
そういった負担が重なると、アスリートのように限界を超えるトレーニングをしていなくても、日常生活の負担で腰や膝などを痛めてしまうんですね。
なみに、膝を痛めている人は、膝周りのトレーニングをしなければ、なんて思ってしまいがちです。
しかし股関節が使えなくなっていると、実は膝の痛みの原因は、膝ではないこともあるので、気をつけてください。
そして、もう1つのリスクは、股関節に動きがないために、股関節の特定の部位ばかりに負担が集中してしまい、骨が変形してしまうことです。
変形性股関節症という病気をご存知ですか?
股関節の部分の骨の形が変わってしまって、歩くのにも痛みが出てしまいまう病気です。
痛みで歩けなくなってくるまでひどくなると、こんな風に人工関節を入れなければいけなくなってしまいます。
ですから、普段歩いたりしていて、なんか股関節がひっかかる…のようなちょっとした違和感でさえも、身体のサインなので、出来るだけ見過ごさないようにしていきましょう。
股関節のつまり感があるときにやりがちなストレッチとは
さて、ここまで読んでくれたあなたは、股関節の痛みやつまりについて、何が起こっているのか、そして、放置するとどうなってしまうのか、お分りいただけたかと思います。
ここからは、具体的な対処法についてお伝えしていきます。
まずは、やってはいけないストレッチについてご紹介します。
それは、こちらのストレッチです。
股関節の前部につまり感があると、前側の筋肉を伸ばしたほうがいいと思って、こういったストレッチをやってしまいませんか?
また、これを推奨している指導者やトレーナーも決して少なくはありません。
しかし、このストレッチは決してお勧めできません。
なぜかというと、このストレッチでは、筋肉は伸びていないからです。
ストレッチは、筋肉を伸ばすものですけど、このストレッチでは筋肉が伸びないんですよ。
このストレッチ普段からやっている人であれば、「いや、伸びている感覚は確かにある!」と思う人も少なくないかもしれません。
とても大事な部分なので、もう少しだけ説明を加えていきますね。
このストレッチの動作は、専門的にいうと、股関節の伸展動作といいます。
股関節の伸展動作というのは、下の写真のように太ももが、まっすぐ後ろ側に動いて、骨盤から離れていく動作のことを言います。
写真では、太ももがまっすぐ後ろ側にいってますよね。
これを股関節の伸展動作というのですが、股関節の伸展動作は、解剖学的に15度しか動かないんですよ。
ちなみに、まっすぐ立っている状態が0度で、そこからたったの15度です。
これは、解剖学的にそうなっているので、あなただけではなく、僕も、みんなそうなっています。
じゃあこのストレッチは、明らかに15度以上動いているけど、どうなんだって思いますよね。
これは、腰や骨盤が動くことによって、15度以上動かしていることになります。
そして、このとき股関節が動いて筋肉が伸びているだけではなく、股関節周りの靭帯も伸ばしています。
ですから、このストレッチで伸び感を得ている人は、筋肉をストレッチしているのではなく、靭帯をストレッチしているから、伸び感があるんですね。
しかし、ちょっとここで考えてみてください。
靭帯というのは、筋肉と違って、伸びたり縮んだりする収縮機能はありません。
むしろ、関節を安定させるのが、靭帯の役割です。
ですから、靭帯を伸ばして緩んでしまうと、かえって股関節の安定性を無くしてしまい、余計つまり感や痛みにつながってしまうこともあります。
ですので、股関節の伸展動作をするときは特に気をつけてストレッチをしていきましょう。
股関節の痛みやつまり感があるときに自分でできる2つの対処法
ここからは、股関節に痛みやつまり感などがあるとき、簡単にできる2つの対処法をご紹介しておきます。
1つ目の対処法は、当たり前と思うかもしれませんが、安静にしておくことです。
もう少し正確にいうと、痛みのでる動作を行わないこと。
痛みが出ていたり、つまり感などの違和感があるなかでの動作というのは、身体がその動作を行わないでほしいと発しているということで、正しく身体が使えていないケースが多いんですね。
そのため痛みの出る動作を行なうほど、間違った身体の使い方をしていることになります。
そういう場合、身体の他の部位に負担が集中したり、関節自体に痛みを誘発してしまいます。
ですから、できる限り痛みの出る動作は控えるのが正解です。
そして、2つ目の対処法は、正しい身体の使い方を、身体に再学習させるトレーニング動作を行なうことです。
一人でできる簡単なトレーニングを、ここで一つご紹介しておきますね。
このトレーニング動作は、股関節を正しく動かしていくうえでとても大切なエクササイズです。
まずスタートポジションは、四つん這いの状態になります。
写真のように、手の置く位置は、肩の真下よりやや前側に置くようにします。
その状態から下の写真のようにゆっくりお尻をかかとに近づけていきます。
なぜこれが正しい動作につながるのかというと、コア(体幹)を働かせながら、股関節を連動させる動作だからです。
四つん這いの状態を正しくキープするということは、少なからず体幹が働くことになります。
実は、股関節がつまり感なく、正しく動くためには、コアが働いている状態で動かさないといけません。
股関節の痛みは、股関節だけの問題だけではなく、そういった身体本来の連動動作ができなくなって、痛みやつまり感が出ていることもとても多いんですね。
そのうえで、このトレーニング動作は、正しい動作を身体に再学習させるのに、とてもいいエクササイズになります。
さらには、股関節を正しく動かすことによって、軟部組織の癒着(ゆちゃく)も取れて、動きやすい状態にも。
もっと付け加えるなら、立った状態に比べて、四つん這いなので股関節にかかる体重もその分少なくなるため、さらに痛みを強めてしまうリスクもほとんどなく行なうことができるというメリットしかないものです。
私たちの日常生活は、便利になった分、とにかく股関節を動かさなくなっています。
そういった影響を受けるのは、筋力が落ちるとかそういったことだけではありません。
関節が動けなくなってしまうことも、現代のライフスタイルではよくみられます。
そういったときに、痛みがあるからといって、ただストレッチをするだけではなかなか解決にはいたらず、最悪手術なんてことにもなりかねません。
一人ひとり股関節の痛みやつまり感の原因は違うのかもしれませんが、一人で手軽にできる対処法をご紹介させていただきました。
ぜひご紹介したトレーニング動作やってみてくださいね。
また、股関節に痛みや違和感がある場合、たいてい腰や膝にも何かしらの弊害や負担が出ています。
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