太田 敏彦
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日頃から腰痛に悩んでいる人にとって、テレビや雑誌などに度々紹介される腸腰筋は、気になるところではないでしょうか。
“腸腰筋が腰痛に影響している”と考えている人は、意外と多かったりします。
ただそうはいっても、『なぜ腸腰筋が腰痛に影響しているのか』『何をやったらいいのか』というのが分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では、腰痛におすすめの腸腰筋の効果的なストレッチや注意点を解説していきます。
腸腰筋が硬いとなぜ腰痛に影響するのか?腸腰筋について知っておきたいこと
腸腰筋が腰痛に関係しそう…とは知っていても、腸腰筋がどんなところにあって、なぜ影響するのか、と聞かれると、いまいち分からない方も多いのではないでしょうか。
あいまいなイメージのまま、腸腰筋に効くトレーニングやストレッチをしたところで、効果はあまりありません。
ここでは、腸腰筋について最低限知っておきたい基本的なことを一緒に確認しておきましょう。
さて、腸腰筋は、どのあたりにある筋肉でしょうか?
そして、どこにくっついているのかご存知ですか?
・・・
それについて確認するために、まずは下の写真をご覧ください。
そもそも腸腰筋というのは、上の写真にもある通り、2つの筋肉を合わせた名称です。
腰の骨にくっついている『大腰筋』と、骨盤の腸骨にくっついている『腸骨筋』ですね。
写真からもわかる通り、大腰筋は、腰椎にくっついています。
ここに、腸腰筋が腰に影響すると言われる所以があるんですね。
大腰筋は、腰にくっついているため、もしこの筋肉が過度に固まっていたら、腰を引っ張ってしまいます。
上の写真の腸腰筋を横からみたら筋肉図を見ていただくと、イメージしやすいのではないでしょうか。
腸腰筋(大腰筋)が固まってくると、腰回りの筋肉の動きが悪くなってしまい、腰に負担が集中してしまいます。
これが腰痛の原因の一つなんですね。
ですから、もし腸腰筋が固くなっていて腰痛の原因になっているのであれば、ストレッチは確かに腰痛改善に有効です。
腰痛におすすめの腸腰筋ストレッチのやり方を紹介!
では、腸腰筋を伸ばすのにおすすめのストレッチのやり方をご紹介していきます。
まずは片膝立ちの状態になります。
そして、そこから下腹をへっこませるように、骨盤を丸めていきましょう。
骨盤を丸めることで、腸腰筋を伸ばすことができます。
もし骨盤を丸める感覚がわかりにくければ、キャットドッグエクササイズで、骨盤だけをコントロールして動かせるように練習してみましょう。
腰痛の人の中には、骨盤が固まっていて、うまく動かせなくなっている人はとても多いです。
「骨盤を丸めるって、どう動かしたらいいの?」といったように、動かし方が分からなくなってしまっているんですね。
これは骨盤に限ったことではありませんが、身体を自分の意図した通りに、正しく動かせなくなっているのも、腰痛の原因の一つです。
『身体を正しく動かせているかどうか』といった視点で、色々なエクササイズをすることも大切なので、頭の片隅に入れておいてくださいね。
腰痛持ちが腸腰筋をストレッチするときに気をつけたい2つのポイント
ここまでは、腸腰筋におすすめのストレッチのやり方をご紹介してきました。
ここでは、腸腰筋を伸ばすときに気をつけたい2つのポイントをご紹介していきます。
このポイントも腰痛を悪化させないためには、とても大切なので、しっかり押さえておきましょう。
過度に股関節を動かして腸腰筋をストレッチをするのは間違い!
腸腰筋は、テレビや雑誌で取り上げられることの多い筋肉なので、知っている方も意外と多いです。
そして、たいていは、以下のような形でストレッチをしていたりします。
ランニング前やトレーンング前に、このストレッチをやっている人をけっこうみかけませんか?
腸腰筋のストレッチといえば、このストレッチで伸ばしている方が多いのですが、これはおすすめできません。
なぜこのストレッチがいけないのかというと、股関節の正常な可動域を超えているからです。
端的に言いましたが、これでは分かりにくいと思うので、もう少し説明していきますね。
まず、どの関節にも正常に動かせる範囲があります。
例えば、肘(関節)は、180度を超えて伸ばせないですよね。
ごくまれに、180度を超えて、過伸展できる人もいますが、そういったケースは”身体が柔らかい”のではなく、”靭帯などの組織が緩んでいる”と捉える方が正解です。
靭帯は、そもそも関節を必要以上に動かさずに安定させる役割を果たさなければいけないので、緩んでいたら、正確に機能していないということになり、これも怪我のリスクを高めてしまいます。
ということは、当然、股関節にも正常に動かせる範囲が決まっています。
例えば、太ももを後ろに動かす可動域は、15度までと言われています。
それ以上動かしてしまうと、股関節周りの靭帯や軟部組織が必要以上に伸びてしまうんですね。
ですから、最初の写真で見せたストレッチは、太ももを後ろに15度以上無理に動かしているため、筋肉をストレッチしているよりも、伸ばしてはいけない靭帯などにアプローチしていることになります。
そして、伸びすぎてしまった靭帯や軟部組織は元に戻りませんし、股関節の機能不全やつまりなどの原因にもなってしまいます。
意外とやってしまいがちなストレッチなので、気をつけてくださいね。
過度に腰を反らして腸腰筋をストレッチすると腰痛悪化も!
過度に腰を反らしてしまうことも、腸腰筋をストレッチするときに気をつけたいポイントです。
過度に腰を反らすのは、腸腰筋を伸ばせるメリットよりも腰の負担を増やすデメリットの方が大きくなってしまいます。
特に、腰痛の人は、『腸腰筋が腰痛の原因なのでは?』と思い込んで、一生懸命伸ばす人が多かったりするので気をつけましょう!
確かに腸腰筋が腰痛の原因になっているケースはありますが、腰を反らしてまで伸ばすのはおすすめできません。
また、もう少しいうのであれば、腰痛の原因が腸腰筋といっても、必ずしもストレッチをすればいいかというと、そういうわけでもないことも、ここでは頭に入れておいてください。
例えば、腸腰筋の使い方が分からなくなっている(機能していない)場合は、ストレッチよりも正しい使い方を教えてあげるアプローチをしなくてはいけませんし、さらには、腸腰筋の筋肉を他の筋肉と連動させて使う『身体の使い方』といった視点でも考えなくてはいけません。
いずれにしろ、腰痛の原因を正しく把握することなしに、改善することはできません。
ただ闇雲にストレッチをして、無理に伸ばそうとしても、腰痛が改善することはないので、正常な範囲で伸ばすようにしてくださいね。