太田 敏彦
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トレーニングの王様とも言われるスクワット。
さすがに知らないという人はいないのではないでしょうか。
スクワットは正しくトレーニングできれば腰痛改善にも効果があります。
ただ、とても効果的なトレーニングですが、動きが複雑だったり、色々なやり方もあるので、何をどのようにやったらいいのか分からないという方も多いでしょう。
そこで今回は、腰痛に効くスクワットのやり方や種類、またウエイト・回数はどうしたらいいのかなどについて解説をしていきます。
腰痛に効くスクワットの正しいやり方や種類・おすすめの回数などを徹底解説
では早速、腰痛に効くスクワットの正しいやり方や種類・おすすめの回数などをご紹介していきます。
まずはスクワットの正しいやり方から説明していきますね。
今回の写真では、バーベルを担いでいますが、バーベル・ダンベル・自重問わず、スクワットの基本的な動作は同じになります。
(それぞれ難易度や注意するポイントは変わってきますが…)
ですので、ご自身の体力レベルに合わせて、変えていきましょう。
ただ腰痛持ちの方の場合は、まず最初のうちは自重でスクワットをして、フォームを確立することをお勧めします。
基本的なやり方は、以下の通りです。
スタートの立位ポジションでは、しっかり姿勢を整えます。
そして、ゆっくり腰を落としていきます。
このときに体幹が維持できていることが、腰の負担を減らす上でも、また腰痛を改善していく上でも、最も大切なポイントになります。
体幹が維持できているというのは、『下腿(すね)の角度と、上半身の角度が平行になる』のを1つの目安にするのが、一番分かりやすいかと。
これ以上、上半身が傾いてしまうと腰の負担が強くなってしまいます。
また、かといって、これ以上上半身が起きすぎていると、股関節をうまく使えず、スクワット本来の効果がなくなってしまいます。
ですから、腰を落としきったときに、上体がどれだけ前傾してしまっているかというのを確認することを、まずは抑えておいてくださいね。
さて、スクワットについて正しいやり方をお伝えしたところで、「何回やればいいのか」また、「ウエイトをつけて負荷をかけた方がいいのか」、といった疑問も出てくるところです。
では、これについても一つ一つ説明していきますね。
まずは、腰痛が気になるときに、スクワットでウエイトはつけた方がいいのかという疑問についてです。
最初にもお伝えした通り、腰痛の種類や原因、運動レベルや身体の状況が人によって違うため、一概には言えません。
しかし、指針としては、『腰の痛みが気にならない範囲でウエイトを増やしていく』ことをおすすめします。
ここは大切な部分なので、もう少し補足させてください!
たしかに腰痛の悩みを抱えている時点で、正しくスクワットを行えない可能性はあります。
そもそも腰が痛いのだから、あまり負荷をかけないようにしようと考えてしまいがちです。
しかし、この記事をお読みのあなたの最終的な目的は、腰の痛みを緩和するだけではなく、腰痛にならない体を作ることが目的なはずです。
決して、スクワットをやること自体が目的ではありませんよね。
そのためには、いつまでも自重を負荷としたスクワットを無理のない範囲でなんとなくやっていても、効果は出にくくなってしまいます。
これはスクワットに限ったことではなく、どのトレーニングにも言えることです。
人の身体は刺激に慣れる性質があります。
ですからトレーニングにおいては、負荷を変え続けなければいけません。
そして負荷を変える方法は、色々あります。
もちろん重さを変えるのも当然有効な手段の一つです。
むしろウエイトをつけて負荷をかけないと、体幹も下半身も鍛えることができなくなってくるので、腰の状態やフォームをみながら慎重に判断していきましょう。
また、腰痛に効くスクワット回数についてですが、効果的な回数についても基本的には同じ考え方で取り組みます。
つまり、言葉で説明するなら、下のような感じでしょうか。
『ある程度、身体に刺激がかかる回数でありながらも、かつ、フォームが崩れて腰の負担が強まってしまうその手前』であることが大切です。
回数を重ねるごとに、だんだんきつくなってフォームを維持するのは難しくなります。
だからといって回数を重ねないと、有効な負荷にはなり得ないので、その辺りのバランスの取り方は、正直難しいところです。
最初は、20回くらいできるウエイトでようすを見ながら、徐々に負荷を上げていくのが現実的な選択ではないでしょうか。
こればかりは、経験のあるトレーナーにフォームは見てもらったほうが、より効果的に取り組むことができるので、アドバイスを求める方が良いでしょう。
特に、自己流でどうも効果を実感できないという方は、一度フォームを専門家の人に見てもらうことをおすすめめします。
筋トレの効果的な回数については、こちらの動画でも解説しているので、ぜひご参考ください!
腰痛持ちが知っておきたいスクワットの3つの種類
腰痛に効くボックススクワット
ボックススクワットは腰痛に悩んでいる方であれば、まずやっておきたいトレーニング種目です。
これは、名前こそ『ボックス』とついていますが、自宅であれば、椅子などを利用して、またジムであれば、トレーニングベンチ台を利用して行なうことができます。
やり方は、簡単です。
まずは、ボックス(椅子)の前に背を向けて立ちます。
そして椅子などに座るように腰を落としていきます。
お尻が椅子についたところで、立ち上がるというタイプのスクワットです。
このトレーニングのメリットは、何といっても、ボックス(椅子)があることによって、正しいスクワット動作を行ないやすいということ。
椅子がないと、どうやって腰を落としたらいいのか、どれくらい落としたらいいのか分からない方も少なくありません。
しかし椅子があることによって、その問題をある程度解決することができます。
ただし、注意点としては、股関節が固かったりすると、無理なフォームでやってしまい、腰の負担をかえって強めてしまうこともあります。
座るようにやってみたけど、どうも腰がきつかったり、なんとなく窮屈な場合は、その原因を見極めた上で、股関節を使えるようにしてから、取り入れた方がいいでしょう。
腰痛に効くダンベルスクワット
こちらは、通常スクワットに対してダンベルを抱えて行なうスクワットです。
基本的なフォームは、上でご紹介した通りです。
ダンベル1個あればできるので、自宅などでも簡単にできます。
ちなみに、ダンベルがなくても、2Lのペットボトルのようにちょっとした重さのものやリュックを重くして抱えることでも代用可能です。
ダンベルスクワットのメリットは、ダンベルを身体の前で保持することによって、通常スクワットよりも、体幹を保つ必要が出てくるということ。
つまり、普通のスクワットよりも筋力もつくし、体幹を鍛えられるんですね。
そして、それでいてバーベルを担ぐタイプのスクワットよりも、腰の負担を抑えられることです。
上の『スクワットに効果的なウエイトと回数』のところでもご説明したように、同じトレーニングをただやっていても、効果は出なくなってしまいます。
それを防ぐためには、負荷を変えないといけないのですが、そのときにこのダンベルスクワットはとても有効な手段になります。
いつものスクワットに慣れてきたら、このダンベルスクワットで徐々に負荷をかけていきましょう!
腰痛に効くダンベル・ワイドスクワット
ダンベルワイドスクワットは、最初にご紹介したダンベルスクワットの足幅を広くして行なうスクワットです。
足幅をワイドにしてスクワットをすることで、内腿の筋肉のストレッチ感をより得ることができたり、お尻の筋肉をより使うことになるので、トレーニングの刺激は大きく変わります。
また股関節も大きく動かすことになります。
最初の方にお伝えした通り、股関節と腰痛は大きく関係しています。
股関節を普段から使わないと、股関節が動かなくなるだけではなく、股関節周りの筋肉も衰えたりするため、それらを防ぐためにも、ダンベルワイドスクワットは、定期的に入れましょう!
ではやり方を解説していきますね。
まずは、通常スタンスの約2倍程度、足幅を開きます。
目安としては、スクワットで沈んだときに膝が足首の上あたりにくるところを目安にします。
太ももが地面と平行になるところまで腰を落としたら、スタートポジションに戻って、それを繰り返します。
腰痛改善や予防には、とても効果的なトレーニングでありながら、意外と取り組んでいないケースも多いので、ぜひ積極的にメニューに組み込んでくださいね。
なぜスクワットが腰痛に効果的なのか?
ここまでスクワットのやり方や種類を解説してきました。
ここからは、やり方よりもさらに大切なことをお伝えしていきます。
というのも、そもそもなぜスクワットが腰痛に効果的なのでしょうか?
なぜ腰痛持ちでもスクワットをやった方が良いのでしょうか。
これは、本当に大切なことです。
なぜならこの部分をしっかり知っておかないと、フォームにもそれが影響してきて、腰痛改善効果も、腰痛に悩まない身体を作ることもできません。
テレビの健康番組や雑誌・本などでもスクワットは腰痛に効果がある、といったことが言われていますし、もしかしたらあなたも聞いたことがあるかもしれません。
そして、ほとんどの人は、『スクワットをすることで筋力がついて、腰痛が改善される』となんとなく考えてしまっています。
でも、もう一度考え直してみてください。
腰痛は、腰の痛みであるのに対して、スクワットは下半身を動かすトレーニングです。
なぜ下半身をスクワットで鍛えるのが、腰痛に効果があるなんて言われるのか、不思議に思いませんか?
あなたはなぜだと思いますか?
スクワットが腰痛に効果的な理由は2つあります。
1つは、運動不足からくる腰痛をもっている人にとって、股関節を正しく動かしながら、運動する(鍛える)ことができるからです。
そして、もう1つの理由は、スクワット動作を正しく行なう場合、体幹をうまく使わなければいけず、その過程によって体幹が鍛えられるからです。
これだけだと、少しイメージしにくいと思うので、もう少し解説を加えていきますね。
まずは、1つめの理由である『股関節を正しく動かしながら鍛える』ということが腰痛に効果がある、ということについて説明します。
腰痛の原因は、決して一つではありません。
しかし、その中でも、運動不足や股関節が動かなくなっているということは、腰痛の原因の一つとしてあげられます。
運動不足による筋力低下は、当然腰の負担を強めてしまいます。
また、股関節が動けなくなることによって、本来動かなければいけない関節が動けなくなるわけですから、動かなくなった分を、どこかで補わなければいけないんですね。
そのときに腰に余分な負担がかかってしまい、腰痛を引き起こします。
一見、すごくささいなことのように思うかもしれませんが、股関節が正しく使えている人と、そうでない人の腰の負担はとても大きいですし、実際に腰痛でご依頼を受けるクライアントの方は、たいてい股関節を使えていないことが非常に多いです。
だからこそ、股関節を大きく動かさなければいけないスクワットをやった方が、股関節の可動性も維持しながら、筋力アップにもつながり、腰痛改善にも効果的なんですね。
今までウォーキングをしていたという人は、歩くこともたしかに大切なことです。
しかし、筋力を強化したり、股関節の可動性の部分を考えると、どうしてもスクワットには見劣りしてしまいます。
ぜひスクワットと合わせて取り組んでください!
さて、ここまではご理解いただけましたか?
次は、体幹が鍛えることが、腰痛に効果的な理由についてでしたね。
これについては、おそらく体幹が鍛えられれば、腰を守ってくれるというイメージで考えられている人も多いと思います。
これも決して間違ってはいないのですが、正確にいうと、若干ニュアンスが変わってきます。
体幹の筋力が上がったから、腰を守ってくれるという効果ももちろんあります。
ただし、その効果が出るのは、バーベルやダンベルでしっかりと負荷をかけることができはじめてからでしょう。
じゃあ負荷のかからないスクワットは意味がないのかというと、そうでもありません。
スクワットのように股関節を動かしたりするときに体幹を正しく維持できるようになることで、腰の負担を低くすることができ、それが腰痛改善にも一定の効果を出すことになります。
ここはすごく大切なところですので、もう一度言いますね。
ここで最初に解説したスクワットのポイントを思い出してください。
その一つの目安が、下腿(スネ)と上半身の角度が平行であることが条件でしたよね。
逆にいうと、無理して体幹を保とうとして、腰に負担がかかってしまうと、それはそれで腰痛を悪化させてしまいます。
こういったケースも非常に多いです。
正しいやり方を知っても、それを再現できないケースですね。
そしてこういう場合、無理して正しいフォームでなんとかやろうとしてしまいます。
しかし、これだと腰痛が悪化してしまいます。
もしスクワットで少し無理しないと体幹が保てない場合は、体幹が保てない原因が必ず別にあります。
例えば、体幹の筋力の問題もあれば、股関節の機能が低下していることもありますし、連動性が崩れていることもあります。
原因をしっかり把握して、別の対策を行なった上でスクワットをしなければいけません。
腰痛を改善することに限らず、トレーニング全般で効果を出すには、『正しいやり方を知る』ということと、『それができる身体の状態である』ことの2つのことが必要になります。
正しいやり方を知っても、うまくできないときは、その原因をしっかり把握して、別のトレーニングアプローチをしていきましょう。
ここでご紹介するやり方は、どうしても一般的なやり方にとどまってしまいますので、もしできないときは無理しないようにしてくださいね。
さて、少し話がそれましたが、いずれにしても、スクワットが腰痛に効果的だといわれるのは、ちゃんとした理由があります。
こういった理由を知っていれば、スクワットでトレーニングするときも、股関節を動かそうとしたり、体幹を保とうとしたりしますよね。
トレーニングは、正しいやり方を知ることも大切ですが、『なぜそれをやるのか』『自分の今の身体の状態でそのトレーニングはした方が良いのか』そういったことも、同じくらい大切なことなので、ぜひここでご説明したことも意識しながらやってみてくださいね。
ちなみに、腰痛を改善していく上で、筋トレはとても効果的な手段ですが、悪化させないためにも、こちらの記事も合わせて読んでおいてくださいね。
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『何から始めていけばいいのか』
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